メンタル

仕事を辞めたい理由がストレスなのは「甘え」?辞め方も解説

今の職場と相性が合わない、上司と気が合わず働くのが辛い…

そんなストレスから仕事を辞めたくなる方は、多くいらっしゃいます。

そして、こういった思いはしばしば「甘え」「心が弱いだけ」と言われるものです。
しかし本当に、ストレスを理由に仕事を辞めたいと思うことは「甘え」の一言で片付けて良いのでしょうか。

今回はそんなストレスの話から、仕事をやめたいときに気をつけたいことについて、お話しします。

仕事を辞めたい理由って?退職理由を調査

一般的な退職理由の建前と本音

ではまず、一般的とされる退職理由について見ていきましょう。
エン・ジャパンで行われた、興味深いアンケートをご紹介します。

『エン転職』を使用したユーザ―1515人に聞いた「転職理由の建前と本音」は、次のような結果になりました。

本音

1位:人間関係(25%)
2位:評価・人事制度(12%)
3位:社風や風土/給与/拘束時間(11%)
4位:仕事内容(8%)
5位:企業や業界の将来性/待遇(7%)

建前

1位:結婚・家庭の事情(23%)
2位:体調を壊した(18%)
3位:仕事内容(14%)
4位:人間関係/社風や風土/企業や業界の将来性(6%)
5位:給与(5%)

続いて、リクナビNEXTによる調査。こちらは、転職経験者100人へ「転職理由の建前と本音」についてのアンケートをとっています。その結果がこちら。

本音

1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)
2位:労働時間・環境が不満だった(14%)
3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)
4位:給与が低かった(12%)
5位:仕事内容が面白くなかった(9%)

建前

1位:キャリアアップしたかった(38%)
2位:仕事内容が面白くなかった(17%)
3位:労働時間・環境が不満だった(11%)
3位:会社の経営方針・経営状況が変化した(11%)
5位:給与が低かった(7%)

実際の理由と、会社に伝わっている理由に見られる大きな差を感じていただけたと思います。

退職理由を正直に話さない理由

では、どうしてこのような乖離が起こるのでしょうか。ネット上で退職理由について調査した結果、次のような理由が挙がりました。

退職前にいざこざを起こしたくない
こちらが、調査する中で最も多く挙がっていた理由です。

転職先が同業種の場合、退職前のいざこざが転職先に伝わってしまう可能性もあります。
また、退職までの期間を気まずい状態で過ごすことにもなりかねませんから、円満退職を望む方が多いのも当然と言えるでしょう。

話しても意味がない

上司や職場との相性が悪すぎて、「話しても無駄だ」と感じているケースです。
早い段階で建前を伝え、一刻も早く退職できるよう準備を整える人が多く見られました。

加えて、相性が悪いわけではないものの自分と会社の価値観が違うことを十分に理解している人もいるようです。その場合、価値観の違いを議論することに生産性が無いと判断し、話さないケースもある様子。こちらも選択肢の1つと捉えて良いでしょう。

そもそも退職理由を聞かれなかった

退職理由について、そもそも深く聞かれなかったというケースもあります。
長く勤めていない会社であること、社風、上司の価値観など理由は様々ですが、深く聞かれなければこちらから言うこともありません。

このような理由で、本音と建前の乖離が起こっているようです。

人間関係のストレスによる退職は「悪」なのか

これらの状況を踏まえて、人間関係のストレスによる退職には問題があると言えるでしょうか。

もう感じていただけたかもしれませんが、もちろんまったく問題ありません
その理由についてお話ししましょう。

人は変わる生き物

まずはデータから見える部分。2つのランキングを見てみると、どちらも「人間関係」は上位に挙がっていました。それだけ、人間関係は普遍的な問題であると言えます。

そして、あなたが最大のパフォーマンスを発揮するためにも良好な人間関係は必要要素です。

加えて、その人間関係について就職活動だけで見極めることは難しいです。人は環境や行動で逐一変わる生き物。面接当時、入社当時相性が良くても、あなたの成長と共に相性が悪くなることだってあるのです。

会社の存在意義と結果

さらにお話しします。私たちが会社、ひいては社会に属する場合、会社の存在意義の先にある結果は「経済の活性化です。

そしてドラッカーによると、会社の存在意義は「顧客の創造

お客様を喜ばせ、その結果経済が活性化する…つまり、たくさん収入を得たり、会社が大きくなったりといった結果につながる。

これが、おおざっぱにとらえられる「会社」の存在意義と結果です。

そう考えたとき、「あなたという貴重な人材がじゅうぶんに活躍するため行われる退職」は何も悪いことでないと分かるでしょう。お客さまを喜ばせられるような、最大限の活動ができる環境に移動しようとしているのですから。

人間関係のストレスで退職すること

よって、人間関係にストレスを感じ転職することは何も悪いことではありません。
さらに言うなら、人間関係にストレスを感じることも、悪いことではありません。

人間関係へのストレスは心の弱さ、甘えを示す指標ではありません。それはあなたが自身に出しているサインであり、自分がどんな人間かを示す重要なカギです。ぜひその声に耳を傾けて、何にストレスを感じているのか考えてみてはいかがでしょうか。あなたがより幸せに生きるための、大切な指標になることでしょう。

仕事を辞めたい!辞め方・伝え方のポイントを解説

人間関係のストレスで退職を考えることは、何も悪いことではありません。
ここでは、ストレスで仕事を辞めたい場合気をつけたいポイントをご紹介します。

退職したい!辞め方のポイント

まずは、退職したい場合の辞め方についてです。
主に次の点を意識しましょう。

辞める日、時期ははっきりと決める

ずるずる辞めるタイミングをうかがうことは、あなたが想像するより苦しいことです。
退職したいと感じたのなら、辞める日にちや時期の希望を早い段階で決めましょう。

もちろん会社との相談もありますが、こちらが希望を持っているだけでかなり話を進めやすくなります。そして、そこまでなら仕事も頑張れると!というモチベーションにも繋がります。

転職活動はストレスの少ない形で

転職活動を退職前に始めておくか、退職後に行うか。こちらは、あなたにとってより適切な方を選びましょう。

会社の勤務時間、有給休暇の残り、空き時間…とにかく、あなたにとってストレスの少ない転職活動の体制を整えましょう。

焦って自身のためにならない転職先を選ぶより、あなたにとって悔いのない転職活動を行えることが大切です。

人間関係の見極めより、周辺環境の見極め

先ほどもお話ししましたが、会って数時間、数日で人間関係を測ることはとても難しいです。であるならば、共に働く人たちがどんな環境で働いているのか、よく見極めましょう。

残業の有無、企業理念に基づく精度、業務内容やノルマなど…見るポイントはたくさんあります。

人は環境に左右されやすいですから、フィーリングの合う環境や業務体系の会社を選ぶことが大切。人の性格を見極めるより、ずっと精度の高い結果がついてきます。

退職の意思を伝えよう!伝え方のポイント

では最後に、退職の意思を伝える際のポイントをお伝えします。

状況によって伝えるタイミングを決める

どんな伝え方をしても、上司や会社に何かしらの影響は残ります。

段階を追って伝えるか、日にちを決めてびしっと伝えるか。双方にとってより被害が少なくなる形で伝えましょう。

とは言え、あまり長く引きずってもあなたにとってストレスになるだけ。よほどの繁栄期でない限り、早めの申告をおすすめします。

退職理由、嘘をつかず建前を使う

こちらが大きなポイントです。嘘と建前はまったくの別物ということを、今一度意識しましょう。こちらはいくつかコツがあります。

つまり、転職の理由=人間関係という構図を作らずに話を進めるということです。

具体的にお話しします。あなたが退職したいと思った理由を考えるときに、人間関係以外の事項が出てきたらすかさずメモを取りましょう。
先ほどお話しした社会全体の視点や、自身のキャリアアップなど、取り入れられる情報はとことん取り入れて構いません。

会社には、そのメモしたことを軸にして伝えます。「考え抜いた結果こうするしかない、こうしたい」といった形で伝えましょう。
そうすることで、誠実かつ嘘もついていない、考え抜いた気持ちを伝えることに成功します。

会社側に「自分たちが悪い」と思わせないことがポイントです。
究極、「善悪」は法律でしか裁くことができないのですから。日本は法治国家ですからね。

人間関係はよほど法に触れない限り、合う合わないの問題。そして、合わないことだって悪いことではないんです。もちろん、あなたの性格が悪いから退職しないといけなくなった、なんて事実もありません。この視点を忘れないようにすることが大切でしょう。

まとめ

人間関係のストレスによる退職について考えていきました。

何かしらのストレスは、あなたがどう生きたいか、どうありたいかを示す重要なキーです。
そして、あなたのことを一番大切にできるのは、あなた自身です。

ぜひ、自分を大切に、今後のキャリアを考えてみてはいかがでしょうか。